JOURNAL

2021.08.03
工具について

レザークラフトにはさまざまな工具が登場しますが、まず何から揃えればいいのかわからない方のために、今回は私がいつも使っている基本の工具と消耗品をご紹介します。

これがいつも使っている工具と消耗品のすべてです。

最初に全て揃える必要はありませんので、制作工程別にそれぞれの役割を説明をしながら、最後に必要最低限の工具をご紹介したいと思います。

解説が長くなりますので、興味があるところからお読みいただければと思います。

【裁断で使う工具】

まず、型紙と革を裁断する時に使用する工具です。

① 定規(4種)
切りたいものの長さによって、いつも4種類の定規を使っています。方眼付きの定規がおすすめです。

② 刃折器
OLFAのポキという名前のカッターの刃を折る器具です。カッターの刃はまめに折る必要があるので必須です。

③ カッターマット
カッターマットはメーカーはなんでも良いと思います。サイズも使いやすいものを選ぶと良いと思います。私は約40x30cmと70x118cmの大きいものをテーブルにいつも敷いています。

④ カッター(2種)
大きい方を基本的に、小さいカッターは細かい部分や曲線を切る時によく使用しています。この小さいカッターは刃先がブレない構造になっていて、とても切りやすくておすすめです。
GLANZ カッター

⑤ 革包丁
「アタリ」と呼ばれる切り込みを入れたり、ひもを切る時などにあると便利です。本格的な包丁でなくてもOLFAの「別たち」でもいいと思います。
別たち

⑥ 目打ち
裁断する線を引くのに目打ちを使います。先端が細いものがおすすめです。

⑦ スティックのり
裁断の道具ではありませんが、プリントアウトした型紙を厚紙を貼るのに使用します。紙がシワにならないものがおすすめです。
GLOO スティックのり

⑧ 重石(2種)
大きい重石は、大きい革を裁断する時に使います。重たい方が革がずれにくく便利です。小さい重石は小さいものを切る時や、縫うものが動かないようにする時など、いろんな場面で使えます。無い場合は、本など家にある何か重いもので代用するといいと思います。

 

【コバ処理で使う工具】

「コバ」とは革の切り口のことです。コバを磨いたりきれいに処理をすることで、仕上がりがぐっと良くなります。

① ヘチマ
コバを磨くための工具です。体を洗う(最近はいないかもしれませんが...)乾燥ヘチマを小さく切って使用しています。ヘチマで磨く人はあまり見かけませんが、私にコバ磨きを教えてくださった職人さんはヘチマを使っていたので、私もヘチマがお気に入りです。コバの色別に何個も持っています。尚、ヘチマはトコノールミニとセットで当オンラインショップでも販売しています。
トコノールミニとヘチマセット 

② 染料
コバが肌色で色が気になる場合に、コバに染料を塗ります。コバの色が気にならない場合は塗る必要はありません。染料はローパスバチックがおすすめです。
ローパスバチック

③ 綿棒とつまようじ
染料を塗るための道具です。綿棒に小さくカットしたストッキングを被せ、糸を巻いて止めています。こうすることで綿の毛羽立ちが抑えられ、綿棒を長く使うことができます。綿棒では塗れない細かいところは、つまようじを使います。

④ トコノール
コバを磨くためのクリームです。コバに塗り、乾く前に磨くときれいな艶が出ます。トコノールミニは当オンラインショップでも販売しています。
トコノール
トコノールミニとヘチマセット

⑤ トコノールを入れた容器
トコノールを液体のり用の容器に移し替えると、指を使わず塗りやすくなります。私が独自に考えたことなので、他にこれをやっている人はいないと思います。やってみたい方はぜひ!
液体のり容器

⑥ NTスモールドレッサー(細目)
滑らかに切れなかった切り口を整えるのに使います。紙ヤスリで代用もできます。紙ヤスリの場合は600番くらいがおすすめです。
 NTスモールドレッサー(細目)

⑦ コバ塗り職人(細棒)
ユニークな名前の、本来はコバ用の塗料を塗るための工具です。私はトコノールを塗り込むのに使用しています。指で塗り込むので十分ですが、あると便利です。
コバ塗り職人(細棒)

⑧ プレススリッカー
コバを磨くための工具です。私は厚い革を磨く時はこちらを使っています。
プレススリッカー

【線や印、のりしろを付ける工具】

 

縫い線や印、のりしろを付けるための工具です。

① 定規
目打ちで線を引く時や、のりしろを荒らす時に使用します。

② 銀ペン
革に印をつけるためのペンです。インクが銀色なので、さまざまな色の革に描くことができます。
銀ペン

③ 目打ち
縫い線を引く時や、印をつける時に使用します。先端が細いものがおすすめです。

NTスモールドレッサー(中目)
のりしろを荒らす(のりが付きやすいように革を削る)のに使用します。紙ヤスリやカッターでも代用できます。紙ヤスリで代用する場合は400番くらいがおすすめです。
NTスモールドレッサー(中目)

⑤ ディバイダー
縫い線やのりしろの線を引くのに使用します。カーブ線は特にディバイダーがあると便利です。
ディバイダー

【接着で使う工具】

革を接着するための工具と消耗品です。

① ハンマー
接着した部分をさらに叩いて圧着するために使用します。革を傷つけないためにヘッドがきれいなものを使用することをおすすめします。私は工具を叩くものと、このハンマーと2本を使い分けています。

② のり用ヘラ
のりを塗るためのヘラです。先にギザギザがついていないものが良いです。

③ のり用ハケ
染料用のハケの先をカットして自作しています。プラスチックのヘラでも十分使えますが、私はこのハケがお気に入りです。サイズも何種類か持っています。

④ ゴムのり
革用の接着剤です。SEIWAさんのスーパーゴム糊がおすすめですが、小さいものがよければG17でも良いと思います。ただしG17は強力なので瓶に移し替えない方が良いです。
スーパーゴム糊
G17

⑤ ゴムのりボール
固まったゴムのりの塊です。瓶に残って固まってしまったのりを集めて作ります。これでヘラやハケについたのりや、瓶に残ったのりを剥がすのに使います。SEIWAさんのスーパーゴム糊でこれが作れますが、G17では固すぎて作れません。

⑥ ゴム板
本来は菱目打ちの穴あけ台として使いますが、のりを塗る時にも段差が必要なのでゴム板を使っています。

【縫い穴をあける時に使う工具】

レザークラフトでは、縫う穴をあらかじめ先にあけてから縫います。

① ゴム板
縫い穴をあける時、下に敷いて使用します。サイズは数種類あると良いですが、初めて買うなら小さいもの、バッグなど大きいものを作る場合は大きいものが使いやすいです。
ゴム板

② 大理石
ゴム板の下に敷いて使用すると、穴が軽い力であけられるのと、音も少し軽減します。本格的にレザークラフトを続けていくならおすすめです。

③ 菱目打ち
縫い穴をあけるのに必須の工具です。私は4mm巾(4mm間隔で刃がついたもの)を使用しています。刃の本数は1本、2本、3本、4本、6本を持っていますが、はじめは3本と6本は無くても良いと思います。
菱目打ち

④ ハンマー
菱目打ちを叩いて穴をあけるのに使用します。木槌でも良いですが、私は重めのこのハンマーの方が好きです。サイズは70x1を使用しています。
ハンマー

【縫うための工具】

縫うための工具と消耗品です。

① 糸
私はいつも麻糸を使用しています。この麻糸はワックス(ロウ)が引いてあるのと、色が綺麗なので気に入っています。
ラミノ麻糸

② 木工用ボンド
縫い終わった後の糸を止めるのに使用します。木や布用の乾くと透明になるボンドであれば他のメーカーでも良いです。ゴムのりでは代用できません。

③ 手縫い用針
針先が丸い、革手縫い専用の針を用意してください。私はSEIWAさんの短い針を使用しています。
手縫い用針

④ 手縫い用ワックス
主に麻糸など、ワックスがついていない糸に擦りつけて使用します。私のおすすめの糸はワックスがついていますが、まだ少し毛羽立ちがあるのでさらにロウ引きしています。
手縫い用ワックス

⑤ 目打ち
糸止めの木工用ボンドをつける時に使用します。つまようじなどでも代用できます。

⑥ 糸切りハサミ
私は2種類をいつも使っています。刃先の細いハサミは届きにくいところを切る時に重宝します。

⑦ 定規
糸の長さを測る時に使います。糸の長さは3mmくらいの厚みの革を縫う場合は、縫う長さの3倍+30cmあると丁度い良いと思います。革がさらに厚い場合は糸も長めに必要になります。

⑧ クリップアーム
縫うものを固定するのに使用しています。本来は事務用品として販売されていますが、これが結構便利です。使い方はレッスン動画でご紹介しています。
どっちもクリップ

⑨ レーシングポニー
こちらも縫うものを固定する専用道具です。nijigamitoolさんのものを使っています。針休め(磁石が内臓されていて針をくっつけられる)がついていたり、開閉しやすくとても使いやすいです。カムレバーもつけています。
レーシングポニー
カムレバー

【はじめての方向け、必要最低限の工具】

はじめてレザークラフトをされる方はこれからご紹介する工具をまず用意しましょう。だんだんハマってきたら、少しずつお気に入りの工具を揃えていくと良いと思います。

<専門店で購入が必要なもの>

① ミニゴム板(正方形or長方形
手縫い糸こちらもおすすめ
トコノール(ミニ)
目打ち
⑤ 菱目打ち(4mm巾)
1本菱目打ち
2本菱目打ち
4本菱目打ち
手縫い針(短)
NTスモールドレッサー(細目+中目)
紙ヤスリで代用できます。紙ヤスリの場合は細目600番、中目400番くらいが良いと思います。
⑧ コバ磨き工具
ヘチマ、もしくはウッドスリッカーがあると良いでしょう。

<ホームセンターなどで買える>

① 定規
② 木工用ボンド
③ ゴムのり G17
④ ハンマー
⑤ 大カッター
⑥ ハサミ
⑦ ゴムのりヘラ
⑧ スティックのり
⑨ カッターマット

 以上、説明がずいぶん長くなりましたが、参考にしてみてください!

text: Tsuchihira